バリ舞踊(レゴン・トランス:パラダイス・ダンス) -3-
レンチャナ・アグン・ウブドの後は、クビャール・トロンポン(Kebyar Trompong)が始まります。
クビャールとは稲妻という意味で、伝統的なクビャールスタイルという演奏形態と舞踊に対しその名前が付けられています。トロンポンとはこの舞踊の踊り手により演奏される旋律打楽器の名称です。
クビャール・トロンポンの踊り手には「踊りながら楽器を演奏する」というかなり技術的かつ高水準なレベルが必要とされ、クビャールの高速な音楽をダイナミックかつスリリングな動きで表現しています。そして、表情からも「強さ」から「洗練された繊細さ」まで細かく表現されます。
この作品は、バリ舞踊家イ・クトゥッ・マリオ氏(I Kutuk Mario)によって1930年代に作られました。木曜日の「パンチャ・アルタ」ではイ・クトゥッ・マリオ氏の再来とも称され、今最も注目されている踊り手デワ・ニョマン・イラワン氏(Dewa Nyoman Irawan)による踊りが観られます。
前半のタリ・ルパス(演目がひとつひとつ独立した踊り)が終わると、後半の演目「ビマニュウ物語」という舞踊劇が始まります。
ビマニュウ物語は、インドの叙事詩、マハーバーラタから題材をとった物語で、アルジュナの息子であるビマニュウ王子とシティ・スナリ姫との恋物語です。魔女カリカ・死の神ドゥルガとビマニュウ王子との魔力合戦などが展開していきます。
まず、ビマニュウ王子の家来が登場し、物語のあらすじを語ります。
ビマニュウ王子
ビマニュウ王子はパンダワ家の5人兄弟のうちの一人であり、アルジャナの子息です。ビマニュウ王子はシティ・スナリという名の姫を捜し求めています。
シティ・スナリ姫
ビマニュウ王子はシティ・スナリ姫に出会った瞬間恋に落ちます。当初シティ・スナリ姫は彼の好意を拒みましたが、最終的には王子の情熱に動かされます。